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第6巻第12号

第6巻第12号 昭和5年12月発行 (1930年)

第6巻第11号第7巻第1号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/06-12/06-12-1354.pdf

※写真 頭を雲の上に出したニューヨークの摩天楼(瓦斯工業視察中の諏訪技師提供)

いよいよ廻る十二萬キロ
富山県富山県庄川筋の小牧・祖山両発電所の常時発電予定は10月末となっていたが、湛水その他の関係上約5日間を延期するのやむなき状態となったが、11月5日には小牧発電所、11月15日にyは祖山発電所が相次いで発電を開始した。かくして本邦電力界未曾有の大問題を惹起した庄川筋の小牧7万2000キロと祖山との合計約12万キロの大電力が常時発電されることとなった。
竣工の桜宮橋荷重試験良好
大阪府]大阪市桜宮橋の荷重試験について。開通に先立ち去る23日午後これがロードテストを行ない、その研究の結果が発表された。荷重試験には12トンローラー一台、10トン3台、8トン3台道路清掃車(約6トン)2台、総計78トンを用い、主径間中央部に撓度試験器、吊材及びアーチリブにそれぞれストレスメーターを装着し、前後4回にわたって試験をなした。その結果、中央部の撓度は約4.5ミリという素晴らしい成績を示し、ストレスは吊材アーチリブともに約45kg/cm2で予定のストレスのわずかに1割たるを得、すなわち約800トンに耐え得ることが実証された。想像以上の好成績に市当局も大得意の有り様。この試験にともなう振動についても考査したが試験機には全然現れない程度のものであった。第3巻第10号第6巻第11号第7巻第1号本編参照。
橋台工事着手の木曽川橋
愛知県][三重県]一号国道木曽・揖斐・長良川橋梁架設問題は十数年来の懸案であったが、昨年政府および三重愛知両県の建設意見が具体化し、総工費280万円内国庫支出210万円両県負担70万円で橋梁界の権威増田淳氏の設計完了とともに今夏起工式を挙げた。以来地質調査等の準備中であったが、おおよその準備が整い、帝都永代橋のケーソン工事にその手腕を謳われた正子重三技師がこのほど愛知県の嘱託に決定(nagajis注:正子技師は永代橋以降各地の橋梁のケーソン工事を指導している。第1巻第1号第3巻第7号第6巻第3号第6巻第4号参照)。該工事は木曽川を愛知県が、揖斐・長良川を三重県が施工するもので、この橋幅7間延長1110m、最新式のタイドアーチである。
橋長増架費国庫で負担
東京府]東京市橋梁課が純ドイツ式を誇り総工費58万3880円80銭を投じて工事中の神田川お茶の水橋梁について。東京市内における橋梁架設において最初に見るドイツ式(橋脚脚桁すべて鉄材をもってする文字通りの鉄橋)で、明春3月の竣工期を控えて目下工事中だが、この橋の改築に当たり省線中央駅の敷地拡張にともなう橋長増加分の費用1万7490円(18尺分)は国庫負担に決定した。(第7巻第5号:橋本敬之「両国お茶の水間高架鉄道工事に就て」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-05/07-05-1432.pdf
地震計式地質調査
静岡県]国鉄熱海線丹那隧道の難工事は学術的研究の好題目だが、今後地質上に如何なる変化が起こらないとも限らないので、鉄道省では丹那盆地において従来から試みられたことのない地震計式地質調査試験を行なった(東京帝大地震研究所高橋助教授並びに地震学教室那須助教授等が出張、微動計(倍率3万)利用)。
有明線龍王浜間完成
国鉄建設線九州有明線肥前龍王浜間8・150キロが完成し、来る11月30日同区間の部分開通を行なうこととなった。新駅は肥前鹿島浜が設置された。
八ケ年振りに境港愈々完成す
鳥取県鳥取県西伯郡夜見ヶ浜半島の先端に位置する境港は大正11年9月起工以来約8ヶ年の日子と約200万円の工費を費やして最近見事に完成。去る11月1日盛大な竣工式を挙行した。内務省からは大臣代理として岡田河川課長を始め大阪土木出張所高橋氏、鳥取島根両県知事、地方名士、各町村代表者および関係功労者一同出席。同港は総工費197万8354円、御台鼻の南方より発する延長2900mの大防波堤、全長361mに及び2000トン級の船舶4隻を同時に係留し得る大岸壁、長さ65m、22m余りの護岸工事7万2800立方メートルの埋立その他浚渫、航路標識等。
瀧漁港竣工式
石川県]大正8年着工以来再三遷延を重ねたがいよいよ先月中で竣工を見、竣工式を挙げた。大正8年から5カ年計画・工費60万円(うち30万円は国庫補助)の計画で着工され、その後財政問題や天候のための海底変化に災いされ、大正14年一部設計変更、さらに5カ年35万円(うち国庫補助7万5000円)を追加し10カ年95万円の大工事となった。また復旧工事が遅れ1カ年を延長して今回竣工したもの。
光明池
大阪府]農務課において6カ年継続事業として149万6000円を計上した府下泉北郡の光明池は同地方2000町歩の灌漑用溜め池として計画されたもの。7日直営事業として起工することになり、地方選出代議士府会議員等出席のもとに起工式を行なった。
三千万弗の米国発電所
海外]米国セイフ・ハーバー水力電気会社が米国の権威者を集め日々2500人の労働者を使用して工事を進行していたペンシルバニア州サスクエハンナ河の発電所は今や竣工の期に近づきつつある。この新発電所はその地方の配電会社、例えばバルチモアーにおけるコンソリデート電灯会社のごときものに電気を売却する予定。ペンシルバニアにおける電気鉄道にも使用される見込み。これに投じた資本は3000万弗で、その中には発電所の建築費、ダムの建設費を含み設置されるタービンの能力は23万1000馬力、さらにタービンを増設して総能力50万馬力のものとするという。
諏訪実氏
東京瓦斯株式会社技師諏訪氏は本年9月社命を帯び渡米、目下各地の瓦斯事業視察中。
藤井真透氏
内務技師土木試験所勤務の同氏、万国道路会議に我国代表として出席の命を帯び先に渡米し目下各地視察中の由。氏は道路舗装工事および混凝土の合理的施工に先覚的努力をした人。
正子重三
大阪府の十三橋ケーソン工事を担当・完成した正子技師は今回三重県揖斐長良川架橋基礎工事に従事することとなり、10月中旬桑名町の同架橋事務所に赴任。
(鉄道省工事関係異動)

佐武正一氏 盛岡建設事務所長→岐阜建設事務所長
高井信一氏 熊本建設技師→盛岡建設事務所長
岩井宇一郎氏 東鉄技師→東鉄保線課長
齋藤飾氏 名鉄技師→札幌鉄道局保線課長
岡田信次氏 工務局改良課技師→東鉄国府津保線事務所長
池田晋氏 東京第一改良事務所技師→東鉄千葉保線事務所長
安藤三郎氏 電気局技師→東鉄川崎発電所主任
比企元氏 神戸改良事務所技師→門鉄鹿児島保線事務所長
伊藤亀太郎氏 国府津保線事務所長→名鉄甲府保線事務所長
藤田金次郎氏 秋田保線事務所長→新津保線事務所長
山口倫三氏 熊本保線事務所長→仙鉄秋田保線事務所長
青山秀雄氏 門鉄技師→熊本保線事務所長
板橋三郎氏 札幌鉄道局技師→函館保線事務所長
欧米事情大講演会と新帰朝者歓迎晩餐会
11月18日、丸ノ内の鉄道協会において日本動力協会、燃料協会、鉄道協会、工政会その他5団体連合のもとに最近帰朝せる工業技術家30余名の歓迎を兼ねた大講演会と晩餐会とが催された。講演内容詳細あり(講演者/倉橋藤次郎、稲田三之助、大島義清、松縄信太、斯波忠三郎、加茂正雄)
第五回改良講演会
新秋に入って工事関係の講演季節となり、そのトップを切って9月29日から4日間、丸ノ内の鉄道集合所で、鉄道工務局主催の第5回改良講演会が開催された。講演者は本省および地方局の工事関係者300余名で大河戸局長、橋本第一改良所長、古川頭改良所長その他各技師も出席。

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