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第6巻第11号

第6巻第11号 昭和5年11月発行 (1930年)

第6巻第10号第6巻第12号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/06-11/06-11-1341.pdf

道路舗装材に整理時代来か
都市計画事業と震災とで増加傾向にある道路舗装、それにともなって舗装材量も数十種を数えるまでに増えてきたが、いずれがもっとも好成績なのかは判明しない。最近の不景気で需要が落ち込んでいるとはいえ利用がなくなることはなく、都市における防音問題なども絡んでくることから、今後はその淘汰が進むだろう。という予測。
東京結核療養所拡張計画進む
東京府]東京市建設課による野方結核療養所の拡張計画が8分通り進む。拡張に次ぐ拡張で800名を収容できるようになっていたが入所希望が逐年増加、このたび70万円を計上して昭和5、6年度の2カ年継続事業として拡張することになったもの。鉄筋コンクリート地下付き3階建、延べ坪1300坪、工費約35万円。他に看護婦寄宿舎木造2階建ておよび平家延べ160坪、この工費1万2000円、屍室その他木造平家延べ66坪等でこれが完成すれば1700人収容の世界有数の結核療養所となる。看護婦寄宿舎は本年度内に指名入札するが、本館は昭和6年度早々に行なう。
世界にも稀な理想的換気装置を採用か
大阪府]大阪市高速度地下鉄の換気装置について、最新・最良の方法が目下考究されつつある。元来地下鉄の換気に採用されているのは(1)ピストン・アクションと称するもの/電車をピストンに見立ててトンネル内の空気の自然換気を行なうもの。ドイツ・ベルリンの地下鉄はこのシステムを採用しているが、大阪市のように塵埃の都市では到底これを採用することができない。(2)機械的換気装置。これには吹込式(ブローイン)と排気式(エクゾースト式)とがある。大阪市当局の採用しようとしているのはこの両式を併用するバランス・システムとも称すべきもの。人の蝟集する停車場には新鮮な空気を送るファンを装置し、停車場間は排気装置を行なおうとするもので、このような仕組みは世界いずれの地下鉄にも見られない。換気に要するファンは市当局で慎重に研究選定中だが、設計も今年中には完成の見込みである。
帝都建築出願
東京府]帝都建築界のバロメーターとも見るべき警視庁建築課への建築出願の推移。本年1月4000件→5月7500件→7月8月5500件→9月6500円と増減。今月も9月に比べて減少しないだろうと言われているから、出願統計から見た帝都の建築界は幾分活況に転換しつつある。
新聞開館の新築
東京府]新聞開館は帝国議会新議事堂の新築を機会に総工費70万円を投じて新築すべく中村藤平氏の書記官長時代に承認され議会に提出されることになっていたが、現田口書記官長は土地狭隘と予算計上難を理由に早急に具体化することは困難とみている。同盟新聞記者倶楽部は貴衆両院の議院クラブとして現議院を旧首相官邸跡に60万円の予算で移転するような予算がありながらこの態度は通信機関たる新聞団を軽視するものだとして会館促進運動を起こした。
羽田飛行場土盛工事
千葉県]目下飛鳥組の手で八万円余の工費で工事中の羽田国際飛行場について。目下6000坪の盛土工事中。この土砂運搬は坪4円で下請けに出されているが、鶴見から海路で運ぶ経費(坪当たり6円)との間に2円の開き、しかも来月に入れば冬期の西風で海路による日数は1カ月1週間程度であるから、この調子では来年3月の完成は困難と見られ、今後これに対して責任者たる飛島組はいかなる方針を採るか業界各方面の視聴を集めている。
梅田十三路線愈よ基礎杭着工
大阪府]大阪市都市計画路線梅田十三線および堂島十三線は都市計画中の難物と称せられるもので、ために都市計画予算に狂いを生じたとまでの称せられるが、その後設計その他の準備も終わったのでいよいよ工費約95万円をもって本月下旬基礎杭の打込みに着手した。明年夏までに全工程を完了せしめる予定。設計内容は鉄筋コンクリート造の高架道路(梅田十三高架道路・延長約450m、幅員27m3、堂島十三間は延長105m、幅員21m85。高架道路下には中央部を縦貫して幅員5m4の道路を設け、その両側に市場、ガレージ、店舗用地を設ける。利用し得べき土地面積は坪数約2000坪。なお梅田十三線高架道路が江戸堀十三線を跨ぐ個所は陸橋径間を15mとし、江戸堀十三線から高架道路と接続する個所は幅員約4m5の斜面路を設け、従来の十三小橋(nagajis注:浜中津橋の前身。明治7年竣工・同22年拡幅の省線下十三大橋からの転用トラス)はそのままとしてこれに通じる旧道路は橋の北詰で高架道路に連絡する。
時潮に順応して天神橋来月から着工
大阪府]浪花名物の一つ・天神橋も改築へ。いよいよ来月初め基礎杭工事を開始、中旬には現橋取り払いと仮橋建設工事の入札が行なわれる。これに先立って南北橋詰めの建屋立ち退きも行なわれ、計画が順調に進めば来年2月には本工事に着手する運び。設計内容は鉄筋コンクリート造拱橋幅員22m5径間(第一径間:北詰船溜径間長16m5、拱矢2m40/第二径間:堂島川径間長62m、拱矢4m45/第三径間:中之島、径間長37m7、拱矢3m/第四径間:土佐堀川54m5、拱矢4m2/第五径間:南詰高水敷径間長24m、拱矢5m4)、橋長210m7、桁下高堂島川中央44m、土佐堀川中央38m(nagajis注:4.4m、3.8mの誤り?)。形式としてはだいたい田蓑橋と同型のものであるが径間が長いことにかけては日本第一と称され、工費は坪900円以上を要するものと言われている。橋幅12間で両側に20尺ずつのアスファルト舗装の歩道軌道が設けられる。その他橋の欄干等は今だ研究中であるが、田蓑橋と同様であると見れば間違い無く便所が三つつくことで、2つが両脇の橋下に、1つは中ノ島の橋台につけることとなる。
大阪一の曲線橋桜宮橋新装成る
大阪府]主径間108m、人道橋としては日本最長となる大阪都市計画線一等大路第三類第二十四号線の桜宮橋、いよいよ工事を終え、来る28日に完工式を行なうことになった。昭和3年5月15日、大林組の橋梁架設工事、田中工業の拱台基礎杭打工事、汽車製造会社の三ヒンジ拱径間鋼材製作架渡及現場鋲打ち。工費概算130万円を投じて着手されたもの。橋梁塗装は全部アルミニウムペイントを以てし、特に接付径間には四塗料会社の比較試験塗料を行なう。その他詳細あり。第7巻第1号福留並吉「桜宮橋架設工事に就て」 http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-01/07-01-1365.pdf 、第3巻第10号参照。
帝室博物館の復興年末に懸賞で募集
東京府]官民協力による帝室博物館振興計画は最近非常に進捗し、総工費700万円の予算のうちすでに寄付申込額は630万円に達した。一方会館の設計について一般に懸賞募集する前に代替の条件原案を目下京大教授武田五一博士を始め伊東内田岸田佐藤の各博士の合議によって研究中であったが、今回それがまとまって、東洋式で屋根の美を取り入れたものということが根本原則となった。間口約60間2階あるいは3階耐震耐火の鉄筋コンクリート造、これを基礎としていよいよ一般の懸賞募集をなす段取り。募集発表は12月頃。なお着工に先立ち今回敷地の一角に10m四方の小屋を建て中村博士の監督のもとに採光試験を行なった。起工は昭和7年春頃。
土木建築界の苦手百貨店の事業開拓
専門業者をして常に脅威せしめている百貨店の新事業開拓、ついに土木建築界へも進出。大阪三越では住宅を新設、開業早々阪神沿線芦屋打出、南海浜寺等に相次いで計画の実現を見、ほとんど現設備で手一杯という盛況ぶり。今後なお数カ月の形勢を見てあるいは積極的な方針を取るのではないかと見られている。
那須御用邸付近写真測図謹製
栃木県]那須御用邸ならびにその付近一帯は聖上陛下のしばしば御逍遥遊ばさるる所であるにも関わらず近辺の地図は不完全な点多くして畏れ多き極みであるので御用邸の写真測図を謹製するため宮内省より千葉県下志津陸軍飛行学校に空中写真の謹製方を依頼するところがあった。同校では15日より10日間に渡って教官の山田大尉、山中中尉の両氏が八八式偵察機に搭乗して御用邸の上空より地上撮影をなすことに決定した。これがため右両氏は15日早朝同校を出発、一気に栃木県金丸ヶ原に飛翔した。
参急の妙案社内家族室
三重県参宮急行の車輌は田中車輌製作所等において建造中だが、電鉄としては型破りな一室八人の座席を設けて買い切り(貸し切り)専用にあてる計画を立てている。山田大阪間2時間半の超スピードなので多数乗客を吸収する見込みから特に家族用として座席日時指定の前売切符制度を考案したわけで、一室貸し切りには特に大割り引きを行なうはずでその率については目下考究中。参宮急行については第4巻第6号第5巻第11号第、第5巻第12号第6巻第9号に関連報。
東京築地病院落成式
東京府]東京市築地病院は昭和3年11月27日に戸田組請負・工費104万5800円で着工、以来本年3月鉄筋コンクリート造地階共五階の本館及び病室の竣工を見たが、その後第二期病棟および付属建物工事中のところ、去る9月15日竣工し総延べ坪3095坪ほか付属建物40坪全部を完成した。よって3日盛大なる落成式。建物詳細あり。
日本電力の川崎火力発電所工事
1000万円の工費を投じ、関東地方の電力補給用として川崎市白石町に建設中だった日本電力川崎発電所が本年いっぱいに竣工することになった。出力7万キロワット(3万5000キロワット2台)。

第6巻第10号第6巻第12号


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