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第4巻第6号

第4巻第6号 昭和3年6月発行 (1928年)

第4巻第5号第4巻第7号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/04-06/04-06-0836.pdf

−鉄道−

参宮急行
三重県]宇治山田間を連絡する同線工事のうち青山トンネルは3月13日から掘削開始。延長2マイル10チェーン両勾配の単線型。東西両口に変電所を置いて100馬力のコンプレッサーを設置する。このほか東方に4つの小さなトンネルを別に作る。向こう2カ年半で完成予定。
大阪駅の拡張
大阪府]大阪鉄道局の移転(前々号参照)と貨物駅の新設工事等で大阪駅は大拡張されつつある。旅客駅も設計既に終わりたる由。
伊勢電鉄
三重県]伊勢電鉄延長工事である四日市〜桑名間の敷設工事は今秋10月までに竣工の予定。昭和5年度までには名古屋から宇治山田間を連絡する由である。
大阪市高速度
大阪府]大阪市高速度地下電車(第1巻第1号第2巻第1号第3巻第4号第3巻第7号に関連報)の計画について。三期に分って行なうこととなった。第一期事業は第一路線の東淀川区南方町から新淀川を渡り大阪駅の北横手を過ぎ御堂筋の地下を南下し難波駅、天王寺駅、西田辺駅を通って住吉区我孫子に至る延長10マイル09(註:今日の御堂筋線)と、第二号線中の芝田町から大阪駅前に至る0マイル70、天王寺公園南端から終点に至る延長0マイル63、第三号線の木津大国町から省線関西本線南に至る延長0マイル56を、本年12月に着手し昭和7年までに敷設する。事業費7912万7286円。本年度には207万5415円を支出、第一号線芝田町から本町まで(1マイル59)を昭和6年3月までに竣工させる。
東京駅の地下道計画
東京府]工費800万円とし近く改良委員会に附議。
阪和鉄道工事進む
大阪府][和歌山県]大阪市天王寺−和歌山市を連絡する38マイルの同鉄道工事、起点−第三工区まで5分通り進捗し、最近第九−第十一の3工区に着手した。全線のうち最も難工事とされる大阪府和歌山県境の雄の山トンネル(第八工区)5088フィートの掘削も目下4300フィートが進行。その他大和川、紀ノ川の架橋工事も近く着手予定。

−建築−

麻布三連隊の新築兵舎
東京府]第一師団経理部の原田技師設計。鉄筋コンクリート4階建て総延べ坪9000坪、工費約300万円で松村組請負により建設された。地下大浴場、1階は新式の電気炊事ができる炊事場、3階寝室、4階大食堂。物品はすべてエレベーターで昇降、屋上には洗面台。防寒装置もストーブをやめてスチーム暖房に。
新築の大阪刑務所
大阪府]3月17日落成。大正7年より継続事業・工費180万円と計上して着手、さらに26万9000円を追加し増築したもの。この工事については一切を受刑者の労力で賄ったため予想外に安くできあがった。煉瓦原土は18町離れた浅香山南方から、砂利は10町余り隔てた大和川上流から運搬・制作。総敷地10万4000坪、正面玄関先は8000余坪の庭園さえある。収容人員3900名。
住宅建築費
東京府]住宅建築費が昨秋より2割低下した。例えば東京府下の町営住宅建築の入札で昨年90円/坪であったものが本春同様の入札で60円/坪となり、さらに前年よりも良いものができた。なおこの建物は土台回りコンクリート、主材米栂、建て具米杉、瓦葺き平家。
早稲田小学校
東京府]牛込の早稲田に小学校落成。鉄筋コンクリート3階建、延べ坪1984坪、工費86万余円、活動写真の映写室なども。
東京市公会堂
東京府]日比谷公園の一角に工事中の同建物、5月16日に定礎式。後藤子爵司会。なお目下鉄骨組立工事中。
首相官邸
東京府]5月10日に首相官邸上棟式。経費235万円、大蔵省営繕管財局工務部により設計、麹町区永田町に施行中。(第3巻第5号に関連報)
震災記念館
東京府][神奈川県]予算100万円中やっと70万円の寄付を得て、設計変更2回に及び今春定礎式を済ました震災記念堂第4巻第1号報)だが、起工式は7月頃になる由。一方横浜市の震災記念館は掃部山公園に建設中の記念堂が竣工、9月1日に盛大な献堂式を挙行する。
建築相談所
東京府]警視庁では4月1日から、東京府下の建築法新施行地34カ町村内5カ所の建築相談所を新設することに。
同潤会アパート好績
東京府]内務省同潤会が建設し貸し付けている賃貸住宅(木造住宅3500戸、アパートメント1200戸)。アパートメントへの申込者は25倍にも達するので、近く日暮里、三の輪、深川、虎の門に大アパートメントの建築工事に着手した。
浅草観音堂
東京府]浅草観音堂の大修繕につき建設中だった仮本堂(経費3万5000円)が落成。5月15日遷座式を挙行。
ワグナー氏を偲ぶ
東京府]オーストリアの近代名建築家、オットー・ワグナー氏の没後10年記念講演会が4月29日国民新聞講堂で開催された。司会者は石本喜久治氏、瀧澤真弓氏のゲルマン民俗と文化、岸田日出刀氏はワグナー氏の建築を紹介、伊東忠太氏はセッションの回顧を講演。
牛込区役所完成
東京府]箪笥町に新築中だった牛込区役所が完成。鉄筋鉄骨コンクリート造地下室とも4階建て、総工費30万円。3階は議事堂を兼ねた公会堂で約600人を収容可能。

−港湾−

川崎河港竣工
神奈川県]川崎市が工費50万円余を投じた日本最初の多摩川河港工事は、内務省金森誠之博士の設計および監督によって本年3月無事竣工。
松江の新築港
島根県]本年4月に起工し工費16万円余り・4カ年の継続事業。長230間の岸壁、水深15尺の水路等を作り千トン級の船舶を自由に航行せしむる。
舞鶴港修築計画
京都府]岸壁210間、物揚場850間、浚渫掘削48000坪、埋立64000坪その他、総工費230万円。竣工後は3000トン級2隻、2000トン級2隻を同時に繋留できるものとする案を、3月27日の港湾協会の常議院会で決定。

−道路、橋梁−

簡易舗装の発明
東京市土木局の道路試験所で最近特許申請を行なった新舗装について。水にある種の薬品を入れてアスファルト乳剤を作り、これを既存の砂利道に散布すると水分が蒸発してアスファルト皮膜を形成する。これにさらに砂利を散布する。耐久力も5年位。
東洋一の吉野川橋
徳島県徳島県吉野川に架設中の吉野川橋梁進捗。すでに17のワーレントラス桁のうち12まで完成、10月には全開通の運び。着工以来満3カ年、工費は下部工43万4000円、上部に67万円、計110万円余りを要した。形式は鋼鉄ワーレントラス(カーブド・コード・トラス橋)、有効幅員3511フィート(?)、橋梁自重2539トン。
穴吹橋落成
徳島県徳島県美馬郡穴吹町の吉野川に架設。工費33万円余り、岡山市三戸岡組の請負。支肱式ワーレントラス橋及び鋼桁橋、長1367フィート6インチ、有効幅員18フィート。第4巻第4号に関連報。

−視察会合−

建築学会
在京会員の建築学研究のため毎月市内の著名工事の見学を行なってきたが、3月16日には全国会員のために見学大会を開催。
土木学会の見学旅行
土木学会の見学旅行は5月13日、富山県へ。庄川水力電気会社の大堰堤工事、黒部川の水電工事を視察し15日帰京。第4巻第7号本編(「土木学会小牧ダム工事及び黒部視察団」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/04-07/04-07-0840.pdf、「庄川水力電気小牧発電所工事」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/04-07/04-07-0841.pdf ほか)、第4巻第8号に関連報。
帝国鉄道協会30周年
5月19日、丸ノ内有楽町の同協会会館にて記念祝賀会。田中首相、小川鉄道相、望月逓信相その他会員が出席、約900人の盛況。工事画報社は「鉄道画報」を出席者全員に進呈。20日は第25回総会、21日は物故会員の追悼祭、22日より郊外鉄道視察。

−人事−

坂出鳴海
大阪市役所港湾部長→都市計画部長→退職。
岩田実
大阪市役所土木部長→退職、教育事業に携わることに。
島重治
内務省土木局第一技術課長→大阪市役所土木部長。
前川貫一
内務省名古屋土木出張所長→本省土木局第二技術課長。
辰馬鎌造
内務省東京土木出張所(勅任技師)→名古屋土木出張所
川崎造船所と川崎車輌会社
川崎造船所は兵庫工場を分離し川崎車輌株式会社として前神戸市長神島房次郎氏を社長とする。元兵庫工場長下田文吾氏は川崎車輌の専務取締役。

−雑録−

東洋一の無電鉄塔
逓信省が愛知県碧海郡依佐美村に建設中だった対ヨーロッパ無線電信局の無電鉄塔2本(全8本中)が完成。高さ250m。残りも今年7月までには竣工の予定。その他詳細あり。工費400万円。
薩摩藩士の忠魂堂
宝暦年間に木曽、長良、揖斐三川の治水工事に尽くした薩摩藩士を称える忠魂堂が近く着手へ。三重県桑名町海蔵寺が広く寄付金を募っていたもので、集まった資金約1万円、忠魂堂には84名の薩摩藩士義士像を安置する計画。
東京市の奉祝
東京府]今秋の御大典の市民奉祝開場として上野公園の広場を2万坪に拡張し10万人収容の大会場を作る計画。
−鉄道の今昔−
那波光雄博士講演の抜粋。鉄道が始まった明治3年から今日までを工事施工法、工事執行組織等から見て四期に区分。第一時期 明治3年〜同11年。リギリス人技師に工事を依託し、邦人技術者の養成を行なっていた時期。第二時期 明治12年〜同28年。邦人が工事主任となり外人技師が顧問。29年には外国人技師が全廃される。第三時期 明治29年〜同44年。工事施工法の発展・日本化が進む。工事の簡易化・経済化が発達。第四時期 大正、昭和 機械化進む。特に大正12年の大震災が契機。外国建築会社の渡来などもあり新工法や新機械への興味、科学的経営に注目が集まる。

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