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第5巻第7号

第5巻第7号 昭和4年7月発行 (1929年)

第5巻第6号第5巻第8号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/05-07/05-07-1079.pdf

※著名工事視察の手引

−鉄道−

丹那隧道実情視察
6月11日、衆議院議院32名が丹那隧道工事を視察。同隧道の現況は総延長25,614フィートのうち東口進行1万フィート、西口進行9,230フィート、計19,230フィートで残り6384フィート。(東口現況)坑口より9000フィートの地点で大断層+大湧水で悩まされたがセメント乳剤高圧注入によりようやくこれを通過、昭和2年秋以来やや硬い集塊岩に変質。(西口現況)坑口より1000フィート地点の大湧水は漸次減少して大正15年には約3分の1に減少したがその後変化が無く、圧搾空気掘削法によって昨秋ようやく砂層を通過した。目下の状況で変化がなければ1日平均4〜5フィートの割合で進み昭和7年春には貫通見込み。
江鉄の大溝安曇間開通
滋賀県]かねて工事中だった江若鉄道の同区間(2マイル7分)はこのほど竣工、6月1日開通式。大溝より1マイル2分の所に中間駅水尾があり、これで23マイル7分を運転することとなった。なお安曇今津間5マイル余の延長工事も近く起工される予定、すでに用地買収を終えている。
目黒蒲田間電鉄の分岐線工事
東京府]大岡山より玉川上流の二葉に至る新線は延長3.5マイル、工費150万円、4月起工、鹿島組請負、9月末完成の予定。なお右新線用橋桁25連は浅山商会にて製作する。
武蔵野鉄道新線
東京府]東京池袋の同社は5月1日村山貯水地行の支線を開通し、今回また現在の本線終端の飯能より延長10マイル工費300万円の吾妻線を開通せんとしている。工事は鹿島組請負。
青梅電気鉄道新線工事
東京府]二俣尾より的山溪まで8月末に完成予定。使用する車輌は60フィートの長尺もの。
筑波高速度電鉄
鉄道省では6月3日、本鉄道敷設の認可指令を発した。東京南足立郡梅島村から千葉県松戸に至る7マイル38チェーンの高速度電気鉄道。建設費215万円。

−道路−

自動車と道路問題
近年著しく自動車が発達し、道路の損傷が甚だしくなっている。各府県ではその維持修繕には毎年多額の経費を投じているがその財源として公納金制度または規定を制定し、甚だしく道路を損傷する業者に対して維持修繕費を負担させる方針を取る所が多く、これに関する規定の許可申請を内務省に提出してくるもの多数。本年度から実施の許可指令を発したものは群馬、山形、京都、神奈川、福井の各府県。許可方針については目下研究中で、近く具体案を得る予定。方針としては昨年の土木技術官会議と区別委員会の答申を骨子とし、地方の事情も斟酌して許可を与えている。

−河川港湾−

新に96港に修築費を補給
内務省では予て重要港湾および小漁港に対し国庫補助をなす方針を打ち出していたが(前号、前々号参照)、これに相当する港湾の調査報告が出揃ったので審議を進め、大体次の96港が指定されることになる模様。従来の指定港湾(府県港湾)同様修築の場合は1港50万円見当としてその半額を国庫より支出する。現在位の6港と合わせて指定港は160港を算することになる。(北海道)江差、寿都、浦河、紋別、余市、広尾、天売、沓形(京都)間人、新舞鶴、浅茂川、久美浜(神奈川)三浦(兵庫)福良、相生、津居山(長崎)島原、佐須奈、富江、平戸、福江(新潟)能生、小木(千葉)白浜、寒川(茨城)那珂(三重)河崎、長島、波切、大口、尾鷲、桑名、白子、浜島、五ケ所、泊(静岡)伊東、相良、沼津(宮城)気仙沼、女川(青森)鮫(福井)和田(石川)瀧、輪島、宇出津(富山)氷見、東岩瀬(鳥取)加露(島根)恵雲(岡山)小串、片上、笠岡(広島)竹原、鞆、吉浦、御手洗(山口)小野田、今津、中関、徳山、萩、三田尻、柳井、新川(和歌山)田辺、和歌浦、湯浅(徳島)撫養(香川)坂出、丸亀、坂手(愛媛)新居浜、川ノ石、川之江(高知)須崎、室津、片島(福岡)大牟田、若津、字ノ島(大分)佐伯、佐賀関(佐賀)諸富(熊本)百貫石、八代、水俣(宮崎)油津、土々呂、赤江(鹿児島)名瀬、福山、串木野、西ノ表、枕崎、米ノ津、志布志。
砂防工事費補助額決定
本年度の砂防工事に対する国庫補助額191万3209円に対し、(1)工費1円につき揖斐川流域5銭(2)第一・第二期およびこれに準じる河川は渓流3銭山腹21銭(3)普通河川は渓流20銭、山腹15銭7厘の割合をもって50万2808円を支出することになった。
改正される現行河川法
明治29年制定の河川法を改訂しようという動き。内務省は6月4日、各地方官に対し右改正に関する意見を諮問、7月末までに答申させこれを参考にする。

−建築−

竣工した三井ビル
東京府]商業建築物としては東洋第一と称せられる同ビル(三井本館)竣工。起工準備は大震災の翌年からで過去5カ年にわたる大努力の結晶、設計はニューヨークの建築会社トロウブリッジ・エンド・リヴィングストン社監督のもとにジェームス・スチュアート社の工事施行にかかり、実費計算によって2000万円の巨費が投じられた。建て坪1370坪、地下2階地上5階総延べ坪9790坪。外観の様式は近世風の復興式。第2巻第7号に地鎮祭、第2巻第7号に設計社の報。第3巻第7号に定礎式報。
飛行会館愈々落成
東京府]芝桜田本郷町角に建設中であった帝国飛行館が完成。昨年5月起工、佐藤功一博士の設計、工費66万円、請負竹中組。1階は模型室として内外飛行機、発動機および部分品を陳列、中2階は図書室として航空関係の世界の図書を集め、22階は航空運送会社事務所、3階は貸し事務室、4階は協会事務所、貴賓室、会議室、記者新聞室、5、6階は1000人を収容する大講堂。なお屋上には実物飛行機を置き参考観覧に資する。
東洋一を誇る無産者病院
大震災に対し米国から送られた義援金に基づいて建設されていた東京同愛記念病院が完成。総工費232万円、工期3カ年、総延べ坪5448坪、鉄筋コンクリート造4階建。病室は243室あり、うち120室が有料で1日2円50銭(食事つき)。一世帯月収75円以下の者は無料。6月中旬より診療開始。
浅草観音の修理月末から着手
浅草観音の改築について。昨年5月15日仮堂を建て本尊を遷座し、ようやく一切の準備が整ったので6月末より大修繕工事に着手することになった。主任技師は小林福太郎氏。工事着手とともにまず大伽藍の橡板を取り外し、足場を作ることになるが、この足場だけでも工費約4万円、工期2カ月を要する。最初は60万円の予算で計画を立てていたが調査によって意外と侵蝕・破損箇所が多いことが判明。75万円に増額変更。完成までに丸3年を要する。第4巻第6号に仮堂竣工の報。
震災記念堂上棟式
東京府]本所被服廠跡に建築中の記念堂が上棟式を挙行。伊東忠太博士の設計、純和風の鉄筋コンクリート造建築。建て坪は堂部297坪、塔部130坪、高135尺、総工費100万円。今年度中に完成予定。支那国民より贈られた釣り鐘の鐘楼も本堂右側に建設することとなり設計を急いでいる。
松屋と伊東屋の共同建築
東京府]本年2月起工。延べ坪1800坪、地下2階共12階の鉄骨鉄筋コンクリート造。設計は岡田信一郎氏。総工費80万円。木田組請負で来年9月竣工予定。現場主任には岡田氏門下の新進三浦元秀氏が当たっている。
東京高蚕改築工事
東京府]市外瀧の川東京高等蚕絲学校の改築工事が総工費273万円で9月より着手。すでに小金井付近へ敷地5万坪を買収し、既存建物の取払いも官僚。竣工は昭和8年4月予定。
模範住宅朝日村
東京朝日新聞社の懸賞募集入選案により小田原急行鉄道沿線の成城学園駅付近10万坪に模範住宅を建設する由。第5巻第4号に募集、第5巻第6号に入選者名。
耐震耐火の宝物庫
今回上野の帝室博物館では宮内省内匠寮の設計で貴重品の保管倉庫を建てることに決定。建物は外部鉄筋コンクリート、内部木造の二重構造。建て坪75坪の2階建、6月末起工明春3月には竣工予定。工費約10万円。

−雑録−

我国治水事業の恩人
宝暦年間薩摩に下った幕命を負い、木曽、揖斐、長良の三大河川の治水工事に殉じた薩摩藩士・平田靱負の木造の開眼式が、命日の25日午後1時、同義士墓所の三重県桑名町今一色寺町海蔵寺忠魂堂で行なわれた。第4巻第6号に関連報。
国際ダム委員会
水力発電工事の発達とともに大堰堤の築造も増え、一方で施工上の不注意から決壊事件も多発している(米国セントフランシスダム、日本の小諸ダムなど)。これら堰堤築造や魚道、流木路等に関し今回国際ダム委員会から日本に対して加入勧誘があったため、土木学会、電気学会、動力協会などが連合して打ち合わせを行なった(6月5日)。
大阪市第二期都市計画
大阪府]大阪市が第二期都市計画事業を計画、内務省に上申。総工費1億882万5688円、主として新市部方面における街路(約7282万円)、運河(約950万円)、公園(約800万円)、墓地(約150万円)などの事業を10カ年計画で施行する方針。
関東最初の鑿泉水道
東京府]代々幡町では市水道局の小野技師を顧問として鑿泉水道の研究調査を行なってきたが、その結果幡ヶ谷伯爵邸裏手に井戸を掘り良質の水源を掘り当て、いよいよ鑿泉水道とする殊に決定。鑿泉水道は関西にはあるが関東地方では珍しい。井戸は幡ヶ谷3カ所代々木3カ所に設け7万9000人、156万石を給水できる計画で、工費も120万円という小額でできる見込み。
隅田川、水の大公園
東京府]近く実現される隅田川公園(東京市都市計画事業)について。7日午後内務省で開催された特別都市計画委員会でこの公園の設計がさらに大規模なものに拡張されることになった。前の設計(大正14年4月決定)では面積3万9600坪であったが、実地測量の結果浅草側の地形が狭長で施設が充分にできないことが判明し、計画を改めて今戸町地先から山の宿町地先に至る荒川水面の一部を埋め立て、総坪数を5万2160坪に増やす。
住宅電気標準仕様書
家庭電気普及会では住宅電気工事の安全統一を期する目的で委員を設け住宅電気標準仕様書を制定。

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