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第7巻第10号

第7巻第10号 昭和6年10月発行 (1931年)

第7巻第9号第7巻第11号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-10/07-10-1518.pdf

我国鉄道の初期建設史
来る10月14日は日本に鉄道が敷設されてから満60年に相当する。鉄道省ではこの日盛大な記念祝賀会を催すことになっている。ここに本邦鉄道建設史の一頁を掲げて祝意を示す。(以下明治2年〜25年までの鉄道建設史概略。おもに路線開通、法制度につき)
阿波池田分岐線開通
徳島県]四国徳島本線阿波池田より分岐し三縄に至る3キロ9分の線路建設工事が完成、9日より運転が開始された。同線は将来三縄より高知線角茂谷駅に延長される計画で、いずれ近く次工区の施工が行なわれるはず。
関東電鉄愈よ着工
埼玉県]古河岩井間7マイル40チェーンの第一期鉄道建設を行なうため、この準備を進めていたが、今回右区間のうち最難工事とされている埼玉県飯島村鵠戸沼埋立工事を施工することに決定。東京小林組と随意契約のうえ作業を開始した。
宮城長野間施工伺
福岡県]九州大川線の国鉄建設予定線中宮城−長野間17キロに対する線路選定伺いが熊本建設事務所より提出されることとなった。具体的な工事着手は昭和7年度中であると見られる。
青森県失業救済道路起債認可
青森県青森県失業救済の道路改修費41万円の起債はこのほど内務省で審議され、国庫補助の関係あるもののうち、緊急施工を要するもの4万5800円のみの認可指令が発せられた。
信濃川発電漁業補償案
新潟県]鉄道省信濃川発電所の堰堤築造にともなう魚族補殖の問題について、9日午前、鉄道省内に農林・内務・逓信・鉄道の4省打ちあわせを開催。最終的な具体案を作成・討議した結果、大体次のような方法をもって魚族の保護および魚族繁殖策を講じることになった。(イ)堰堤に魚道を敷設すること(ロ)養殖池四ケを建造すること。
和田堀浄水池工事 築城本部の教材に
東京府]本誌4月号に紹介の東京市水道局和田堀浄水池工事(第7巻第4号・小野基樹「東京市水道局和田堀浄水池工事」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-04/07-04-1410.pdf)、本年いっぱいに完成の予定で着々工事を進めているが、外径280尺32角形高さ35尺というラーメンを応用するもので、設計の妙と施工の苦心の現れとして現代におけるコンクリート技術の最高潮に達せるものと言われ、陸軍築城本部の教材として研究されている。
上毛電力の貯水池竣成
群馬県]予て上毛電力で建設中だった菅沼貯水池(貯水量1000万立方メートル)、丸沼・大尻沼貯水池(貯水量1287万立方メートル)の工事が完成、9月20日に当局の検査を受けた。この貯水池は冬期渇水期に同社の発電出力が半減した場合に利用するもの。第6巻第9号に関連報。
六十億立方尺の大貯水池を
東京府]東京市水道局では山口貯水池工事に次ぐ第三期計画として総工費約5000万円をもって奥多摩上流に自然の地勢を利用した貯水量60億立方尺の大堰堤を築造する計画を立て実現を期している。第7巻第6号に関連報。
共同印刷工場増築
東京府]小石川の共同印刷株式会社ではかねて清水組に依託、工場増設の設計中であったが、このほど完工、起工認可を申請した。鉄筋コンクリート6階建総延べ坪3310坪の大建築。
土木士法立案
土木学会では日本建築士会の建築士法案議会提出に対し、土木士案を作成・提出すると。
山本卯太郎
我国可動橋の権威たる氏は糖尿病のため入院加療中のところこのほど全快、退院して活躍を開始された。
青木周三氏
鉄道次官の氏は9月●日付依願免官となった。(nagajis注:日が抜けている)
久保田敬一氏
鉄道省運輸局長→同省次官。
橋本敬之氏出発
大阪市電気局に赴任する同氏、9月10日東京駅初の燕号列車で出発。当日は午前8時過ぎより見送りの知友続々と参集し、東京駅大ホールにて夫人及び令息知友に囲まれながら、見送りの人々にいちいち挨拶を交わし、午前9時発車、ホームに押し寄せた数百名の歓呼裡に送られて大阪へ向かった。見送り人には八田前鉄道次官、中村謙、大河戸宗治、増山、黒河内四郎、池田嘉六氏らの前局長及び現局長課長連その他多数の鉄道技術関係者および業界関係。なお氏の住所は兵庫県武庫郡夙川アパートメント・ホテル。

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