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第7巻第4号

第7巻第4号 昭和6年4月発行 (1931年)

第7巻第3号第7巻第5号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-04/07-04-1418.pdf

※欄外の社会三面記事「す・ぺ・し・あ・る に・ゅ・ー・す」と命名さる

貯金局の庁舎落成
東京府]総工費約400万円、銭高組請負のもとに一昨年来工事中だった貯金局庁舎(東京麻布区飯倉6丁目)に予定通り竣工。2月14日修祓式を挙行した。大蔵省営繕管財局が施行していた大建築で、近世式鉄骨鉄筋コンクリート5階建、総延べ坪約1万坪の堂々たるもので、銭高組は建築請負始まって以来の大工事にも関わらずその出来栄が各方面に賞賛されている(この号写真)。
南海ビル工事進捗
大阪府]大阪南海ビルディングの前期第二期工事、すなわち南海鉄道本社事務所に充当すべき部分の工事は大林組の手で工事中であったがようやくコンクリート工事を完了し目下内装に着手している。4月早々には南海事務所を移転せしめ、現在の南海事務所の取り壊しにかかる。
大阪城天守閣今月中上棟式
大阪府]大阪市の御大典記念事業である大阪城天守閣復活工事、大林組請負のものと鉄骨組み立て中であったが、大体組立を終えたので上棟式を挙行する。市当局としては宣伝効果を考慮して桜見頃を利用する予定。(第6巻第3号に関連報)
大阪中央卸売市場の竣工式
大阪府]総建設費1800万円余りを投じた大阪中央卸売市場が完成。大正14年3月25日認可。3月24日(あるいは25日)盛大な竣工式を挙行することに決定。
大阪電軌上六布施間高架線
大阪府]工事計画については予てから沿線敷地の買収進行中だったが、昨年末をもって全部終了の運びとなったので、今年4月頃からいよいよ着手される予定。同区間の延長距離は2.5マイル、高架複々線とし、工費は700万円が計上されている。竣工認可日は昭和7年7月。今里で省線・市電との三重交差になる個所については鉄道省市電と協議中だったが、城東線線高架の上に大軌高架が乗り、市電高架がさらにその上に敷設されるという三階式になった。
地下鉄第四期工事 大倉式構築法で
東京府東京地下鉄の日本橋今川橋間、いわゆる第四期工事は大倉土木が落札(第一期大倉、第二期大林、第三期清水ときて、会社側でも3社を交互に施工せしめる腹案と噂されていた)。請負金額は約120万円見当。真鍋氏の発明になる大倉式地下鉄構築法をもって施行する意向で、設計変更方を交渉中。
囲み記事・故近藤仙太郎博士の短冊
1月22日逝去の同氏が利根川改修工事の竣工に寄せた和歌。
小樽港水陸連絡工事順調に進捗
北海道]札幌鉄道が昨年より施工中だった小樽港水陸連絡設備工事、埋立工事が完成の域に達したのでいよいよ近く本格工事に入る予定。だいたい3月末あるいは4月上旬より大桟橋工事に着手せられるはずである。本工事の総費用は750万円という膨大なもので、明年度中の工事入札は大きな注目を集めている。なお桟橋工事の完成にともなって同町に臨港鉄道の敷設計画もあり、かねて札鉄当局にて計画の具体化が計られつつあるあるが、目下のところ該計画は未知の問題とせられ、今後日を経るにしたがって具体化されるものと見られている。
神田上水路改修認可
東京府]総工費297万1000円をもって大改修を行なうことになっている東京府の神田上水路は5日付けでその一部が施工認可された。豊多摩郡自中野町壽橋至中野町中野橋上河川改修工事、延長870m、幅員11m、工費24万1300円でうち材料費5万9581円84銭、労力費4万4518円15銭、機械購入費1万1800円、用地費7万5400円、補助費2万7400円、雑費2万2600円。ちなみに総工費をもって施行される主なるものは次の通り。掘削費47万6040円、130万5813円護岸費、22万5175円橋梁費、3万1501円道路費、7万8364円機械費、57万1290円用地および補償費、28万2670円事務費。
大阪源兵衛渡地質調査結果
大阪府]大阪安治川の源兵衛渡連絡問題(nagajis注:のちに安治川隧道が作られる)は、26日協議会を開催するが、初倉組で地質調査中のところようやく北側の分が完了し結果が判明した。それによると地下82尺において耐圧力7.14トン/平方フィートという見事な砂礫層に到達しており連絡工事実現上に好影響を及ぼすものと思われている。なお南側は目下ボーリング注であるが大体同程度の成績を収め得るものと見られている。
富山県営電気愈々開発に着手
富山県富山県営電気ではかねてから2000kW程度の水力発電計画を樹て常願寺川水系の水利使用認可を得るとともに爾来発電所建設について着々準備をすすめていたが、近く小見発電所(発電容量1万kW)ならびに称名発電所(発電容量6000kW)の工事を起こすことになった。さらにこのほかに1、2水力発電所の建設計画をたて、かねてより当局へ出願中であるが、いずれ近く主務省の認可とともに具体化するはずである。現在の右二発電所建設施工方針はまず小見発電所に着手、明年2月中には全部完成させ、称名発電所は明後年2月中に完成させる予定。
中央線電化の祝賀会甲府で
中央線の電化開始は4月10日から。この開始を祝する祝賀会が、鉄道省ならびに沿線各都市代表者間の協議によって4月10日甲府市で開かれることが決まった。(第7巻第6号:森田重彦「中央線電化工事概要」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-06/07-06-1441.pdf/「中央線電化祝賀式雑観」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-06/07-06-1442.pdf 参照)
各団体の総会シーズン来る
鉄道協会では本年定時総会開催場所を名古屋市と決定、下記件を付議することになった。一.前年度決算報告の件、一.前年度事業報告の件、一.本年度予算決定の件。総会後は講演会・見学視察会を催す。建築学会総会は4月上旬東京にて開催。近く常議員会開催のうえ日取大会順序などを決定する。建築業協会本年度総会は最近理事会で大阪市開催に決定、大阪支部の意向に依り日取りその他を決定する。多分4月20日前後。土木業協会昭和6年度総会は3月30日決算終了後4月上旬理事会を開催し、諸般の準備を行なったうえで東京において開会の予定。多分4月中旬。東京土木建築業組合は4月中旬開催、組合本部各支部において目下諸般の準備中。日本建築協会では4月末あるいは5月初め春季大会を開催することに。委員をあげて下準備に取りかかった。プログラムは未だ未定だが、淡路地方見学、室生寺、長谷寺、大野寺方面の視察旅行を予定。
道路損傷の原因は
米国化学土壌局W・I・ワトキンス氏の説によれば道路を損傷する重要な元素は水と氷であると。16年間の土壌研究と道路建設の経験によるもので、そのうち4年は道路局と共同研究に従事したことより得たものである。同氏曰く「如何なる土壌および地層に氷が張りやすいかという研究は相当重要な問題である。最も大なる損害を与えるのは雪解けの水あるいは春雨で、冬期ある土壌のなかで結氷することはその膨張により土壌間の間隔を増加しその表面を軟らかくして安定性を破壊する。そして道路の表面を貨物自動車、荷車等が重圧を加えると路面は破壊される」。霜や氷の張り方は土壌の型と関係があり、それによってコンクリート厚もかえなければならない。よく凍る土地は薄いコンクリートを張るとこれによって膨れ上がり道路破損の原因となる。高級でない道路の表面は春の雪解け時分には柔らかくなり霜が道を破損するが、粘土の土壌においてはこの損害少なく多孔質の土壌が多いという。

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