第3巻第11号 昭和2年11月発行 (1927年)
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/03-11/03-11-0628.pdf
−鉄道−
- 模範的軌道
- [東京府]東京市電の軌道改良工事について。電気局工務課長阿部氏の設計による改良工事が各方面から多大な注目を浴びている。第3巻第6号、第3巻第8号本編「電車軌道のコロゲーシヨン及び基礎に関する新改良工法の発見」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/03-08/03-08-0551.pdf 参照。
- 鉄道省
- 改良事業の繰延べとともに建設工事費捻出に努め、一マイル当たりの建設費を節約。約900万円が浮いた。
- 親不知の防雪工事
- [新潟県]北陸線のなだれ雪の名所・親不知一帯30マイル余りの防雪工事に下半期工事費30万円の支給が認められた。丸山金沢保線事務所長の運動による。
−建築−
- 神田卸売市場
- [東京府]東京市が都市計画事業として設立する神田卸売市場が10月下旬から着工。神田下谷両区にまたがり、鉄筋コンクリート造の売り場1406坪、倉庫及計算場1319坪、競売場76坪、荷捌場120坪、荷揚場160坪、食堂155坪、付設商人売場124坪、事務室55坪、およびバナナ成熟の保存地下室、電気装置の芋洗いタンク、場内郵便局も設ける。工費150万円。
- 二重橋正門の工事
- [東京府]同工事に着手。内匠寮の菊池技師監督下で曽根組人夫数十人が担当。扉の漆喰が最も苦心するところだが本年中には完成予定。
- 銀座に摩天楼
- [東京府]銀座4丁目交差点角(電車通りから裏通りまで)に大百貨店が計画中、総坪敷き数500坪、鉄筋コンクリート造、工費100万円。伊東巳代治後援。
- 在仏日本留学生の大会館
- 薩摩治郎八氏の篤志による同ホールの定礎式(10月12日)。李王殿下が礎を据えられた。
- 大阪都市区域内
- [大阪府]大阪都市区域内の家屋建築増築・改築について、市産業部が調査。目下高層大建築が流行し、昨年中使用金1億1000万円。
- 東京株式取引所
- [東京府]工費250万円、鉄筋コンクリート造3階建て。外廓は九分通り完成。
- 東洋一の郵便局
- [大阪府]大阪駅の拡張とともに大阪中央郵便局の建築が計画されている。工費500万円、駅構内西端約3000坪があてられる予定。
−河川−
- 内務省では
- 河川に対して農業漁業舟運水力発電等の積極利用の方法を調査するべく水利統制調査機関を設置する。その経費80万円を明年度予算で要求する予定。
−港湾−
- 臨時港湾調査会
- 10月18日・19日に重要港湾の選定および修築計画についての審議。その結果小名浜港、細島港、浦戸港、宮古港、七尾港、尾道港、博多港の8港は第二種重要港湾に選定され、次の各港はそれzれ修築計画を可決された(修築個所省略)。▲清水港(工費180万円)、四日市港(工費180万円)、小名浜港(工費388万円)、細島港(工費187万円)、大分港(220万円)、浦戸港(工費437万円)、宮古港(工費220万円)▲大阪港修築計画と京浜運河開削計画案(第1巻第5号、第2巻第11号、第3巻第2号、第3巻第7号、第3巻第8号参照)は各特別委員に付託となり、前者は11月初旬に実地調査を行なうことになった。委員長中山秀三郎博士。▲京浜運河開削計画は特別委員会の修正を受け10月24日の本会議で可決された。修正点詳細あり。特別委員長は原田貞介博士、修正案は主として中川吉造博士の案。
−道路−
- 模範的自動車道路
- 昨年9月に開通式を挙げた京浜国道は東京府所管の区間の舗装路面が早くも崩れ、浜川鈴ヶ森間、延長片側約300間を改修、40日間に完成する見込み。工事はマガダム舗装約3寸を剥ぎ、これをアスファルトコンクリートに変える。
- 大幹線工事
- 帝都二大幹線の一たる九段亀戸間が開通。柳原通りは地主との折り合いがつかず長引いたが11月には着手する。龍閑町付近一帯が問題になっている。
- 箱根架空式索道
- [神奈川県]増田忠次氏により箱根架空式索道(総工費100万円)の出願がなされる(9月29日)。延長6マイル8分高低差673m、12人乗りで運賃1円。
−橋梁−
- 六大橋工事の進捗
- [東京府]永代橋、蔵前橋、駒形橋の三橋は完成し、残る清洲、相生、言問橋も本年中に完成のはず。
- 岐阜県の橋
- [岐阜県]木曽、長良、揖斐三大河川のほか多数の支流が多く、橋梁の数も他府県に見ない多数。現在16113の橋梁がある。うち大きなものは39本、工費最多は木曽川に架設された太田橋で25万2076円、次は長良川架橋の長良橋で17万7134円。しかし本巣郡穂積駅前穂積橋以下には全く橋梁がない。
- 竣成した日支合弁の図們江鉄橋
- 明治41年の間島条約で敷設権利を獲得しながら吉林省民の反対によって竣工が遅れていた吉会鉄道(その一部である天図鉄道(天宝山、図們江間60マイル))の、そのまた難物であった図們江鉄橋がこのほど竣工。去る10月18日開通式。
−人事−
- 田中好
- 「道路の改良」誌上で意義ある論議の筆を執っていた内務省土木次官の同氏、「乗合自動車の主管省に就て」の一文が職務上の義務に違背するものとして譴責される(10月3日・いわゆる「路政僧筆禍事件」)。
- 齋藤固
- 朝鮮鉄道局技師清津出張所長→工務課長(9月19日)。
- 今泉茂松
- 朝鮮鉄道局技師釜山工務事務所長→清津出張所長(9月19日)。
- 岡村正雄
- 挑戦鉄道局技師太田工務事務所長→釜山工務事務所長(9月19日)。
- 池神重政
- 朝鮮総督府鉄道局技師(高等官四等)に任ぜられる。
- 日本の建築及び交通
- 日本の建築及び交通に関する権威で、逓信省顧問であったドイツシャロッテンブルグ工科大学教授・フランツ・バルツア博士が逝去(9月18日)。
- 中村猪市
- 九州大学講師に招聘され、氏が主宰していた雑誌「建設」は8月号限りで廃刊されることに。
−紹介−
- 理想的屋上防水舗装
- として横浜市市役所建築課で採用されているスラット液防水舗装。施工者は日本土木建築会社屋上防水工事部(東京芝)。
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日本の廃道 nagajis (http://www.the-orj.org)