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第4巻第12号

第4巻第12号 昭和3年12月発行 (1928年)

第4巻第11号第5巻第1号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/04-12/04-12-0954.pdf

※全国著名工事視察手引

−鉄道−

関門隧道調査進捗
鉄道省の関門隧道建設調査について。海底地質、状態、海流速度、船舶の通過量、陸上の測量などの調査も順調に進捗。隧道建設も可能であろうという見込みが立ったので昭和5年度より6カ年継続事業として2000万円の予算を計上し具体的な設計へ取りかかることになった。路線は幡生より小瀬戸の埋立地に依り彦島に至り、2000mの海底隧道によって大瀬戸を横断、新町に上陸、小倉に至るもの。海底隧道の建設方法は沈埋式が有利か。
東京附近の改良工事
鉄道省による東京附近の改良計画。目下実行中、およびさらに予算約1億円をもって明年度以降8カ年継続事業として続行することとなっている主要工事について。
1.品川鶴見間の貨物線増設(4年度完成)
 1.鶴見程ヶ谷間の線路増設(4年度完成)
 1.鶴見操車場工事 第一期工事に属する応急施設を4年度までに完成せしめ使用
開始の予定。
 1.東京駅改良 東京上野間の汽車線、5年度初めに竣成した後は近距離列車の始
発駅は東京駅に変更する模様。これにともない品川駅に客車操車場を設置する。
一方東京駅を改良して現在の裏側すなわち八重洲橋の乗降場を増設する。4年度着
手、6年度ないし7年度完成予定。
1.飯田町中野間汽車線増設 飯田町信濃町間は目下工事中。今年度中には完成
予定。明年度は引き続い中野駅改良工事を行ない同年度中に完了予定。
1.国分寺八王子間複々線計画 国分寺立川間を第一期、立川八王子間を第二期
工事となし、第一期工事(電車線)は4年度完成、第二期工事は5年度着手、6年度
完成の予定。
1.東京田端間線路増設(4年度完成)
1.上野駅及び秋葉原駅改良 上野駅本屋は4年度着手秋葉原駅は目下工事中。
いずれも6年度初めに竣成予定。
1.戸山ヶ原操車場設置 中央線の貨物列車を収容せんとするもの。貨物駅を新
設するはず。

山陽線複線工事
着々進捗し11月9日から長府幡生間(10マイル1)の複線が開通することに。なお山陽線複線工事の未完成区間は岩国−柳井津間(25マイル77)、岩田−虹ヶ浜間(9マイル75)、三田尻−大道間(7マイル81)合計43マイル33で昭和5年度までに全部完成の計画。
地下鉄の一問題
道路占用料は道路法第28条により1坪10円〜20円を徴収し得ることになっているが、現在徴収しているものは路面の占用のみで、道路の地下を占用するものに対しては徴収していない。しかるに近年の地下利用はますます増加する傾向で、内務省土木局ではそれらに対し占用料を徴収することが適法なのか否かを研究中であった。その結果「地上・地下に関わらず道路を占用するものに対しては道路法第28条の規定を適用すべきものである」ということに決定した。

−建築−

行幸啓沿道の諸工事点検
東京府]御大礼後11月27日両陛下が京都から還幸啓相成り、29日には多摩陵へ、12月13日には上野竹の台に催される市民奉祝大会に行幸啓。これにあわせ沿道保安の万全を期するため、警視庁建築課では両側2丁以内の建造物および目下工事中の個所を点検。その結果11月10日までに4万9000戸を調査し、厳重取締を要するものは腐朽、倒壊、墜落、発火その他危険状態にあるもの合計455件、工事中の昇降機、起重機、杭打機使用中のもの353件でうち改造を命じられたもの55件に及んだ。高層建築に対しては行幸前日および当日一斉に検査を行なった。
神奈川県庁舎
神奈川県]新築工事は11月1日落成式。あまり工事を急いだため内務部長室の天井が一部剥落して騒ぎになった。第2巻第6号第3巻第12号に関連報。
浅草本願寺再建
東京府]10月18日復興発表式挙行。敷地5250坪の真正面11m道路の中心に大門を、南及び西に築地を巡らし、北及び東をコンクリート高塀とし、境内諸堂宇各社会事業機関はすべて鉄筋構造日本風建物として総延べ坪1826坪。本堂は間口24間奥行き26間高さ20間という壮大なもので、建築委員に伊東忠太、佐々木岩次郎、内藤多仲三氏が当たり、すべて鉄骨鉄筋の永久構造として地下室を設けている。様式は本山御影堂型の二層屋根として重層入母屋本瓦葺、内陣二手詰組二重折上格井で三方広橡落橡を巡らし前面は3間の向拝を造る設計。工費は本堂189万円、客殿、対面所、鐘楼、大広間、大門その他161万円総計350万円の予算。
徳島県庁舎
徳島県]県庁舎工事は10月28日に地鎮祭。昭和5年6月完成予定。設計は平面山字形三層の鉄筋コンクリート造近世式ゴシック建築。正面は北方に面し市道を経て徳島港に臨む。外部はスクラッチ・タイル張りおよび人造石洗出仕上、内部は漆喰およびブラスター塗上、床はコンクリート上木造床、屋根は陸屋根防水層を施す。ただし県会議場の屋根は鉄骨造である。一般設備として電灯瓦斯暖房電気時計給排水衛生電話リフト消火電鈴など。
名古屋
愛知県]帝国ホテルを上回る大ホテルを造営する案を同市実業家連中が研究中。

−港湾−

七尾港
富山県]七尾港は特別輸出港として改修される事になり、3カ年継続・第一期工事に73万5000円を以て10月28日起工。起工式には中川内務技監その他出席。
鹿児島港
鹿児島県]修築起工式は11月3日、同埋立地にて挙行。内務大臣代理、片山関土木出張所長、後藤知事以下500名参列。
敦賀港
福井県]修築工事のうち防波堤の海中10メートルの延長工事が竣工し、筌の川口右岸の防波堤380m(うち第一期工事190mの基礎工事)も終えた。(11月初旬)
龍塘港
朝鮮]第一期工事工費50万円を5カ年継続工事として起工。10月28日起工式。

−道路、下水−

若松市
福島県]若松市明治町の道路舗装工事は8月18日起工9月19日竣工。工費8800円、舗装路面延長124間、幅2,74間、総面積346坪。照明燈111個所を2625円にて設置し若松市の模範町となった。
東京市下水道
東京府]東京市下水道改良工事として大正14年起工した芝浦第五号地のポンプ場、総面積5660坪、工費125万9000円をもって今回竣工。11月8日盛大な通水式。

−人事−

井上範
東大教授工学博士、雑誌「港湾」11月号に「故広井勇博士を悼みて」なる追悼記事を発表。
吉田徳次郎
九大教授の同博士、10月21日の日本ポルトランドセメント業技術会においてコンクリート施工に関する研究の一部を発表された。
鹿島精一
鹿島組として知られた工学博士の同氏、日本土木建築請負業者連合会長に当選。
横山信毅
大倉土木株式会社の専務たる同氏は日本土木建築請負業者連合会副会長に。
桝井照蔵
神奈川県技師。昨年6月に出発した欧米視察旅行から帰朝。10月24日土木学会第51回講演会において「欧米における最近の水力電気について」を講演。工事写真帳を配布。

−会議−

日本ポルトランドセメント業技術会
同協会の第18回例会が10月18日から3日間、丸ノ内の鉄道教会において開催。講演紹介。
世界動力会議東京部会
明年秋季をもって東京に開催される万国工業会議を機に、日本動力協会主催の世界動力会議東京部会を昭和4年10月30日より11月7日まで開かれることに。同会会長古市男爵、副会長加茂正雄博士。
港湾協会
社団法人組織後の第一回通常総会が台北市で開催。会長水野錬太郎。丹羽、鈴木両博士の講演。
請負業者大会
日本土木建築請負業者連合会第一回総会が20日神戸市の県会議事堂で開催。会長大林義雄。

−紹介−

土木建築日記 鉄道時報局の昭和4年版
鉄道時報局が発行したポケット日記帳の紹介。上製金1円20銭、送料14銭(神田区鍋町アーチ下鉄道時報局発行)
雑誌索引 第二巻
秋田の人、下戸前繁松氏の編集・出版。あらゆる雑誌の記事索引表。四六倍判20枚定価67銭。発行所秋田市楢山南新町下戸前方)
囲み記事
編集兼発行人・岡崎保吉の転居案内。

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