!!!第8巻第8号 昭和7年8月発行 (1932年) 《 第8巻第7号 |第8巻第9号 》 http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/08-08/08-08-1683.pdf ※写真 東武線隅田川橋梁 ::九大線残部近々に竣功 :::[福岡県][大分県]鉄道省熊本建設事務所で工事を進めていた九大線(大分−久留米間)は残工事もわずかとなったが、同線東線豊後森駅より北山田間5キロ7分余りのの区間新線敷設工事は近々竣工するので来る9月16日開通することとなった。同線には北山田駅を新設。 ::羽幌線全通式 :::[北海道]鉄道省北海道建設事務所では管内羽幌線の最終工区・古丹別羽幌間16キロ560mの区間は工事も進捗し近々竣工を見るに至った。9月1日同地にて全通式。なお同線には上平、苫前、羽幌の3駅が新設される。 ::飛越線の一部開通 :::[新潟県]鉄道省長岡建設事務所では飛越線猪谷駅より杉原間8キロ870メートルの新線敷設工事は着々進捗し、近く完成するので来る8月20日より営業運転を開始することに。同線開通区間には新駅杉原を設ける。 ::紀勢東線十工区二十一日に着工 :::[三重県]紀勢東線十区三野瀬駅相賀間6マイル50チェーンの鉄道工事は21日大倉土木請負のもとに起工した。この工事の完成は着工日より20カ月となっているから予定通りに進めば第一工区よりも約1カ月早く昭和9年3月2日に竣工することになる。三野瀬−尾鷲間にはトンネルが3本あり、三浦トンネル1万432尺、大瀬トンネル198尺、尾鷲トンネル4600尺。 ::下関駅の新築締工費90万円 :::[山口県][福岡県]下関駅の改築は鉄道省における久しい懸案であったが、このほどいよいよ本省および門司鉄道局の間に打ち合わせの完了を見、目下省局両者で協議しつつ設計が急がれているが、伝え聞くところによれば遠からず完成の域にまで達しているとのことである。工事の内容は現在構内に散在する一切の付属建造物を総括して鉄筋コンクリート造3階建にする予定で、総延べ坪4000坪、1階は駅関係の各室とし、2階はホームおよび連絡船乗降場、3階は各課事務所および貴賓室、会議室等とする予定で、これに要する総工費は90万円。全工事を2期に分割してその一期分は今年末頃起工の運び。 ::東京郊外電鉄延長線愈着工 :::[東京府]既報の東京郊外電鉄会社では渋谷急行電鉄より買収した免許線東京府下渋谷町より中央線吉祥寺間14キロ余の新線敷設工事に着手したが、これに引き続き同社の目的予定線である府下大井町より山の手を循環して深川区洲崎に至る延長40余キロの中大井町より省線駒込駅間約30キロを施工する計画を認可方申請中であったが、このほどに至り認可が決まる。従って同者では本年11月30日より建設費1900万円をもって着工することとなり、諸般の調査を開始したが、これは9年11月頃には竣工し営業運転を開始するはず。 ::京成上野乗入近く着工する :::[東京府]京成電軌会社では既報のごとく省線日暮里駅より上野公園前まで隧道による乗入工事に関し日暮里駅付近の工事に対する設計書を東京鉄道局に提出、認可申請中であったがこのほど正式認可された。したがって同社ではこの日暮里付近よりまず着工することになった。 ::水力発電所の1KW当り工費 :::逓信省調査。1000KW以上の水力発電書の1KW当りの平均工事費について。物価の変動、技術の進歩、貨幣価値の変動等で、明治39年(以下水利使用許可年次)には許可地点31で270円、42年には7地点で340円、大正5年戦時中では18地点で370円となり、その後12年から15年頃まではほとんど同一高低を示し430円。昭和6年では許可地点x(nagajis注:数字ヌケ?)で420円と微減。 ::東京臨海球場設計に着手 :::[東京府]東京臨海野球場新設計画については第一、二、三案の設計を完了したが、いずれも大体案であったがいよいよ専属選手も決定するのでこれと同時に実施設計ならびに見積もり仕様書を作成することになった。なにぶん夜間照明を要するため光線、照明距離などを考慮に入れなければならないので、実施計画だけでも2、3カ月はかかる予定で、警視庁や市等の許可後になる模様である。 ::水戸市上水道工事竣成 :::かねて工事中だった同市の上水道がこのほど竣工したので7月15日竣工式を挙行。 ::関門架橋委員調査 :::九州本州を連絡する内務省の関門架橋計画は、さる臨時議会においてこれに要する調査費3万円が追加予算として通過可決した。同省土木局ではさっそく陸海怒濤局の諒解を求めると共に鉄道、逓信各関係者をもって調査委員会を組織し可及的速やかにその技術的ならびに経済的の調査をすべく着手した。今回の内務省案は2階建の橋梁とし上を人道および車馬道として下に鉄道を敷設するという珍しい構造。 ::嵯峨渡月橋架替決定 :::[京都府]京都市では過般豪雨のため流失した嵐山渡月橋を架替することになり、これが予算25万3440円を起債に待つべく16日の市会に提案することになった。新渡月橋は風致地区内にあるので設計は従来2間幅を6間幅に拡張し鉄桁を用い鉄筋コンクリート床だが高欄は木材で覆い、照明は春日灯籠式など苦心が払われている。なお渡月橋南詰の中の島橋も新渡月橋と同様の式により架替る予定。 ::東京神奈川線の丸子橋新設 :::[東京府][神奈川県]両府県を結ぶ指定府県道東京・神奈川線丸子橋新設の件は主務省に対して工事認可を申請中のところ、実施設計に対し一部変更のうえ14日認可指令が両府県に対して発せられた。同橋は橋長400m幅員11mで本年度より3カ年継続事業、総工費51万7500円、東京府負担額は25万8799円99銭で堂々たる橋梁とする。 ::二見浦索道開通式挙行 :::[三重県]かねて架設中であった三重県二見ヶ浦旅客索道株式会社音無山の旅客索道はこのほど竣工、同山で開通式を挙行した。 ::清水組本社新築移転 :::[東京府]合資会社清水組はかねて京橋区宝町2-1に社屋を建築中だったがこのほど落成。7月1x日(nagajis注:カスレ)より従来の事務所丸ビルを引き払って新社屋に移った。新社屋は鉄骨鉄筋コンクリート造8階建、延べ坪約1000坪、全部清水組だけで使用することになっている。なお同組の電話は京橋の4181(10)から5181(10)に変更。(このページ写真:清水組新社屋) ::緑ヶ丘保健住宅設計図懸賞募集 :::[大阪府]大阪の日本建築協会では創立満15周年記念として今秋祝賀会を開催する由、その記念事業の一つとして頭記の懸賞募集が発表された。締切は8月15日、詳細は大阪市北区中ノ島3-3朝日ビルの同会緑ヶ丘懸賞係へ照会のこと。 ::建築学会の展覧会 :::建築学会では今秋11月1日から10日までを会期として第6回建築展覧会を開催することになった。同展覧会は第一部及び第二部に分かれ、前者は建築図案その他建築に関する自由出品、後者は懸賞競技で課題は名勝地に建つ停車場。締切りは10月1日である。 ::飛島組移転 :::株式会社飛島組では過般来麹区富士見町5丁目に事務所新築中のところこのほど完成、旧来の小石川水道町より移転した。 《 第8巻第7号 |第8巻第9号 》