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第8巻第2号

第8巻第2号 昭和7年2月発行 (1932年)

第8巻第1号第8巻第3号

http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/08-02/08-02-1587.pdf

※写真 昨年10月末開通したニューヨークのワシントン橋

アペナイン隧道貫通す
海外]過去十カ年にわたる歳月と58,000,000磅の巨費を投じて工事中だったイタリア・アペナイン隧道が貫通。延長約11マイル半、複線型では世界最長。本誌昭和5年6月号(第6巻第6号)本編に鉄道省三好技師の視察記事(注:見当たらず)。
フーバーダム 一都市を生む
海外]米国においてパナマ運河以来の大工事と称されているネヴァダ州ボールダー渓谷にあるボールダーダム(フーバーダム)は着々進捗中だが、その工事場を中心としてたちまちのうちに工事関係者や家族による人口20,000を有する都会が出来上がった。何十年も前からある町と同様に完全な秩序が保たれ、6マイル離れたコロラド河から引いた隧道、電燈、下水装置なども完備。新都市だけに都市計画委員会が腕を振って設計したもの。
朝鮮長津江に三菱が20萬キロ発電計画
朝鮮朝鮮長津江20万キロの開発水利権を有する三菱は、満蒙の積極的開発を目標としてこの発電所を建設する意向。満蒙における無限のボーキサイトを朝鮮に輸送し、ここにアルミニュームを生産、日本における軽合金工業界に一大飛躍を試みんとしているもので、満州事変による満蒙の我が権益擁護という機運がこうした動きにつながったものであろう。総出力20万キロワットのうち、まず第一期計画として10万キロを開発、軽合金製造を実施する予定。水利権開発については昨年8月24日付工事施工認可の手続きをとっている。
ワシントン橋と吊橋の径間
海外]本誌にしばしばその驚異的な工事振りを紹介した北米ニュ−ヨ−ク州のジョージ・ワシントンブリッジはいよいよ昨年10月末開通。世界一吊橋の名誉を取得した。米国においてはすでに工事中のサンフランシスコ港ゴールデンゲート橋(4200フィート)があり、また近く架設されんとするニューヨークのナロー橋(径間5000フィート)の計画等があり、吊り橋の径間は何処まで可能であるかが問題となった。専門家の一致した意見ではその限度は最大1万フィートすなわち2マイルまでで、それ以上は技術的には可能だが経済的には作れないとのこと。
橘橋架設工事進捗
宮崎県]九州随一の長橋と称される宮崎県橘橋は70万円をもって飛島組が請負い、今夏竣功の予定で着々工事中であったが、最近著しく工事進捗しすでに九分通りの完了を見た。遅くとも3月いっぱいには竣功の見込み。同橋は13スパンの鉄筋コンクリートアーチ橋。
六甲越有馬鉄道二月竣功運転
兵庫県]六甲越有馬電鉄の六甲登山鋼索鉄道は伊太利チェリッチ・タンファニー社製の用機にて昨春来より施工されていたが2月上旬より運転開始されることになった。該ケーブルは我国では珍しい四車運転方式で途中停留場で乗換昇降するようになっており、輸送能力を極めて増大する特殊なケーブル。同設備に対する原動機としては容量300馬力の高圧電動機が予備とも2台施設されている。
世界的に珍しい地下ケーブルカー
兵庫県]神戸市摩耶鋼索鉄道では現在の起点からさらに灘区箕岡通四丁目百四十七番地地内へ至る延長線を施設することに。その延長線は地下式で、今回その準備に着手したが、ケーブルカーの地下敷設は世界的にも珍しいとされる。
具体化した各地上水道
多難な計画の声のみに終始した昭和6年度に比べ、本年度は実行の時代として各方面から期待されている水道界。すでに実現の域に達しているものは全国を通して50数カ所、それに既設水道の拡張計画を加算すればほとんど100カ所にも及んでいる。目下表面的に具体化された計画個所ならびに工事額は▲新設水道=盛岡市水道(200万円)鶴岡市水道(100万円)弘前市(90万円)福井市(100万円)札幌市(200万円)静岡市(100万円)松山市(80万円)山口市(95万円)萩町(95万円)旭川市(100万円)岸和田市(75万円)楯岡市(30万円)千葉成田町(15万円)福島県元宮町(15万円)香川県坂出町(50万円)秋田県本荘町(15万円)兵庫県今津町(20万円)島根県平田町(20万円)愛媛県八幡浜町(30万円)大分県亀川町(9万円)東京府南葛飾郡五ヶ町村連合水道(200万円)台南市水道(50万円)埼玉県水道株式会社(200万円)北総水道株式会社(200万円)千葉水道株式会社(200万円)▲拡張計画=東京市水道第三期拡張(3000万円)川崎市(300万円)京都市(300万円)甲府市(200万円)下関市(70万円)小倉市(80万円)長崎市(20万円)奈良市(100万円)門司市(200万円)呉市(100万円)市川町水道(30万円)
土木学会定時総会
1月16日午後3時半より丸ノ内帝国鉄道協会講堂にて土木学会総会開催。那波会長開会を宣言し、丹治主事が昭和6年度事業報告、牧野主事同会計報告、会員那須章弥氏より2、3質問ののち議事は可決された。次いで役員の選挙に移り、投票を終わって那波会長の講演後、当選者発表。投票総数389票、郵送されたもの358票、直接投函されたもの40票。(以下会長、副会長、常議員の開票結果と留任役員、投票開票調査責任立会者) 総会終了後、別室にて晩餐会。安芸杏一博士ほか50余名の会員出席し新役員を囲み学会の前途を祝福。当夜役員以外の卓上演説者は那須章弥氏、西尾鉄次郎氏、木村芳人氏、松浦丹四郎氏、野口寅之助氏、中川吉造氏。
鉄道省の異動
鉄道省に下記異動。池田嘉六氏 建設局長/黒河内四郎氏 建設局長兼任だったが池田氏の就任により専任工務局長に/倉田玄二氏 秋田建設事務所長/高井信一氏 長岡建設事務所長/河西定雄氏 熊本建設技師→建設局工事課勤務/木村芳人氏 仙台鉄道局長/山中隆吉氏 鉄道監察官/黒田武定氏 工務局改良課長兼計画課長/広瀬一郎氏 名鉄保線課長兼改良課長
囲み記事 権威ある大倉の工学図書
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