!!!第7巻第7号 昭和6年7月発行 (1931年) 《 第7巻第6号 |第7巻第8号 》 http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-07/07-07-1467.pdf ::丹那トンネル電化工事着手 :::[静岡県]熱海沼津間十三マイルの運気運輸設備工事は何分同工事が世界的難航を傾けているので鉄道省電気局では着工を手控えていたが、このほど同トンネルの延長2万5614尺中残余2300尺となり、昨秋の豆相大震災の際の破壊個所も順調に進捗し同トンネル開通の確信を得たのでいよいよ建設局の希望により電気局では電化工事に着手。未掘削部分を除くほかはすでに架線工事を開始するばかりになっている。同トンネルは複線として世界第九位清水トンネルに次いで東洋第二の大トンネルで、過般電化した笹子を加えて本邦の代表的大トンネルはことごとく電化されることとなる。 ::郊外鉄道測量開始 :::東京郊外鉄道では既報のごとく旧渋谷急行電鉄の免許線(渋谷を起点とし吉祥寺に至る間)を第一期工事区域として敷設工事に着手することと内定。目下測量隊を組織して実地測量を開始している敷設マイル数は約12、3マイル内外である。 ::大阪城東線高架工事 :::5月20、21日の両日十数社を指名して四工区それぞれの入札を行なった。その結果第一工区銭高組、第二工区奥村組、第四工区今西組、第五工区間組に決定。第7巻第6号参照。 ::東京地下鉄の上野省線連絡 :::[東京府]東京地下鉄が新築中の上野駅と地下連絡をなすことになり、設計の承認を受けると同時に施工一切を鉄道省に依託することとなった。同省では第一改良事務所を命じて準備させていたが今回着手に決定し、近日中に入札を行なう。 ::札幌の電鉄工事 :::[北海道]札幌市では失業救済の目的で多年懸案の電気軌道新設工事に着手。本年8月1日より。 ::台東線馬太鞍鉄橋工事完成 :::[台湾]台東線馬太鞍鉄橋の架設工事はすでに鉄橋12連全部の架設を終わり、同渓南側の護岸工事ならびに山麓の新線路開削中であるが、近く完工、線路の敷設をなし、同時に新旧線路の切り替えを行ない鉄橋を通して北側の未完成線路200mの区間は線路の石垣造と同時に土盛工事中であるが、7月下旬頃までには竣工せしめる予定。全新線の開通をみるのも7月末の見込みで、最初の計画に比べて多少遅延することとなった。 ::富山県の橋梁工事 :::[富山県]富山県の橋梁改良事業は昭和4年度から総工費100まんえんを以て9年度までの継続事業として施工中。6年度は1○萬4000円(nagajis注:1カクアキ)をもって65橋梁を架設することに決定、目下当局では実施設計を急いである。 ::大河津分水堰の補修工事竣工式 :::[新潟県]信濃川大河津分水自在堰の補修工事は昭和○年6月新潟土木出張所の手で着手されて以来、満3カ年余りと総工費446万円を費やして最近新可動堰を完成。6月20日竣工式。 ::阿倍野堺線道路開通 :::[大阪府]総工費300万円とのべ24万人を要し、さる4月18日開通式をあげた大阪阿部野堺線道路工事の概要。位置/大阪市住吉区阿倍野筋6丁目より堺市向陽町に至る 延長/6471.7m 有効幅員/23m63 事業費総額/290万1451円 起工/昭和2年2月23日 竣工/昭和6年4月15日(写真は開通式。道路改良会都筑通督氏寄) ::兵庫県道路改修認可 :::[兵庫県]兵庫県当局よりかねて管内県道の改修を内務省に申請中であったが、このほど審査が終了し、認可指令が発せられた。今回改修される県道の内容は次の通り。一.宝塚池田線(自川辺郡川西町・至同郡小浜村、幅5m4、延長3967m37、工費13万5819円) 二.伊丹尼崎港線(自川辺郡伊丹町・至尼崎市、幅員8m1、延長5997m8、工費33万1033円) 三.高砂飾磨線(加古郡荒井村地内、幅員5m4、延長1480m、工費5万6845円) 四.同線飾磨郡白村地内(幅員5m4、延長1693m5、工費4万2805円) 五.飾磨網干線(自飾磨郡広村至揖保郡大津村、幅員5m4、延長1819m、工費7万5503円) ::江原道の救済事業 :::[朝鮮]朝鮮江原道失業救済土木事業は本年度より3年間にわたり総工費300万円をもって施工することになっているが、本年度は93万円をもってまず京城五里津線水害復旧工事に約30万円、金北忠線に約30万円などその他道内主要路線の改修または拡張等の工事を行う筈である。 ::松江市の復興計画 :::[島根県]松江市大火罹災地の復興計画についてはこのほど松江市会において復旧整理費35万5843円(うち市債38万1000円)に決定した。 ::河川委員会九月開催か :::全国各地から大きな期待が向けられている河川委員会は、いまだ委員会官制も決まらず、もちろん委員も任命されていないが、大体右は5月中に決定を見るものと予想されていたところへ例の減棒問題・三政整理などに災いされて一時停頓の状態。全国各地の河川氾濫、洪水その他の水害を一掃すべく計画されたこの委員会がこのまま流産することをかなり憂慮する向きもあるが、大体7月中に官制の制定を見る模様であるから9月頃までには委員会開催の運びとなるだろう。 ::郡山市の都市計画 :::[福島県]郡山市都市計画道路網は今月末までに決定するはずで、委員会に承認を求めた上、ただちに内務省に提出する運び。内務省において決定されれば本年末までに委員会を開催し15カ年継続事業としいよいよ工事に着手することになる。費用は約370万円。 ::宇治電気の小泉発電所 :::[京都府]宇治電気の小泉発電所が完成し、8日9日の2日間検査が行われた。同発電所の出力は960キロワットにて発電所内全装置の操作は自動で行われることになっている。 ::広島港修築の認可促進 :::[広島県]県費350万円を投じて本年度から着手することになっている広島港湾修築事業の起債認可促進につき伊藤広島市長、加藤市会議長ほか市会議員はこのほど広島県庁に白根知事、松村内務部長を訪ね促進方の尽力を依頼した。 ::東京市庁舎計画は懸賞 :::[東京府]東京市庁舎は目下促成委員会において敷地を探していたが、他に適当な候補地が見当たらない限り現水道局庁舎跡、月島芝浦両地埋め立て地のうちいずれかに決定することとなった。敷地決定後は庁舎設計を(全開の市庁舎建築案と同様)3万円程度を投じて設計図案懸賞募集を行なうことに内定している。本月中には大体の敷地を決定すべく、従ってこれと同時に発表されるものと見られている。 ::同潤会分譲住宅設計図案募集 :::主として中産以下の人々に長期月賦の方法で分譲する住宅を目標とし、将来の日本小住宅の帰趨の針路を示すものと要旨をもって、3、4、5室の小住宅設計図案を募集中。一等200円以下50円まで12名入選。 ::写真・阿倍野堺線開通式の自動車行進 《 第7巻第6号 |第7巻第8号 》