!!!第6巻第10号 昭和5年10月発行 (1930年) 《 第6巻第9号 |第6巻第11号 》 http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/06-10/06-10-1328.pdf ::鉄道省選定発表の優良国産品製作者 :::鉄道省の優良国産ならびに優良製作業者選定作業が終わり、同一覧が近く諸官庁や各私鉄会社などに通知されることになっている。 :::一.保線関係 △タイプレート(横河橋梁製作所) △アンチクリーバー(住友製鋼戸畑鋳物) △マンガニース鋼転轍叉(金子鋳鋼所名古屋大同電気) △螺釘(帝国製鋲) △枕木穿孔機(島貿易株式会社) △軌条接目用挟鉄(シム)(山形製作所) △除草薬(濱化学研究所) △軌条防錆剤(遠藤合資会社) △発電信号(日本化工株式会社) △モーターカー(発動機)(東京瓦斯電、石川島自動車製作、ダット自動車製造、タカタ企業社) △同上(車体)(東京瓦斯電、加藤製作所、斎木商店、軌道車製作所) △軌道自動自転車(宍戸オートバイ製作所、土屋鉄工所東洋自転車製作所) △ガソリン気化器(タカタモーター企業社) △マグネトー(澤藤電気工業所) △フリクションホイール(タカタモーター企業社) △イナンデーター(山越工場) △コンクリートミキサー(王子鉄工場、布喜鉄工所、関東機械製作所) △レールソー(欧米貿易商会、ガイク製作工場) △エレクトリックタイタンパー(特機製作所) △可鍛発電機(発電機部)(黒崎電機製作所、精電舎、小田電気株式会社、東京電気株式会社) △同上(原動機部)(池貝鉄工所、タカタモーター企業社) △コンクリート耐圧試験機(東京衝機製造所) △ハイドロリックジャッキ(欧米貿易商会、ガイク製作工場、高柳機械製作所) △ハイドロリックレールベンダー(同上) △杭打鎚(油谷機械工作所) △ドラグラインエキスカベーター(石川島造船所) △スチームショベル(石川島造船所) :::二.建築用機械器具 △セメントグルートマシン(小松製作所) △送風機(日立製作所、三菱造船所、碌々商店) △砕石機ブレーキクラッシャー(月島機械株式会社大塚工場、足尾製作、住友新居浜製作所) △セメントガン(日本放射機工業株式会社) △オイルファーネス(足尾製作所) △測量機械(玉屋商店、測機舎) △Xレベル(同上) △軽便電気機関車(架空線式)(三菱造船、日立製作、足尾製作) △同(蓄電池式)(日立製作) :::三.建築用品 △ドアーチェッカー(大阪日本ドアーチェック製作所) △ルーフドレーン(斎藤久孝事務所) △階段滑止(岩中合名会社) △衛生用陶器並びに諸金具類(衛生用陶器)(東洋陶器株式会社、名古屋製陶所豊橋製作所) △同(衛生用諸金具)(ヤンソン蒲田製作所、八重沢工場、高橋製作所) ::現場の混凝土強度警視庁が調査開始 :::コンクリート建築万能時代である今日、その混合法は各々の現場で異なり実際の規格通り実施しているか、コンクリートの強度が完全なものであるかは疑問とされている。警視庁建築課ではこのほど各現場のコンクリート調査を開始した。これは主として強度の調査であるが、すでに分析し、混合のでたらめなためにコンクリート建築として完全な強度を保ち得るかが疑問とされるものさえある模様。今後引き続き調査を続け、不十分のコンクリートに対しては厳重な警告を発することになる。従来鉄筋コンクリート1:2:4(セメント:砂:砂利体積比)、基礎1:3:6等の規格を誤魔化している現場も相当にあると言われていたが、この調査で一掃されるものと見られている。 ::混凝土の失敗は何に起因するか :::最近警視庁建築課がコンクリート調査を開始したが(前述)、大蔵省工務部その他各官庁方面でもコンクリートの調査を進めつつあり、建築界でもコンクリートの強度その他においてようやく問題化されんとしている。最近英国において失敗せるコンクリートの調査がなされ、その結果400中47は原因不明だが、残部は次のような結果であった。△非常な貧配合83 △混凝材に有機物を含む49 △混捏不充分・混捏時間不足48 △調査材料不備原因不明47 △ローム粘土質を含有する量大なるため2 △水量過大にて弱く混凝材の分離、亀裂を生じる35 △水量過小硬化不充分・不均一多孔質5 △混凝材のグレデーション不良34 △砂の量過大のため弱し34 △砂の量過小のため多孔質となる22 △施工不良突き固め不充分25 △ブリーズ・クリンカーを用いる際石灰質を多く含む23 △混凝材中の硬化物硫黄のため20 △同上中硫酸塩のため13 △養生不良凍結日光に対する保護を欠きまたは急激に乾燥す19 △扁平または鋭角絶無なる混凝材15 △強度となる混凝材14 △工業薬品に冒されたるため9 △石膏ブラスターを含む混凝材8 △原因不明なる空隙大なる混凝土7 △誤れる貯蔵または長期貯蔵による風化セメント使用6 △混凝材に有機物存在し硬化遅延せるため5 △アルミナセメントとポルトランドセメントの混用による急結4 △セメント量過大にて亀裂を生ず4 △木葉草を含有する混凝材にて物理的に弱くなりしため1 △「フリライム」混有混凝材による1 △鉄筋の「カバー」不充分1 △「セメント」急結性のため1 ::ロシアで最初の鉄道電化計画 :::[海外]ロシアの国内鉄道委員会、同国内の特殊線路に対して電気機関車を採用すべき計画を立てているとの報。採用する線路はカウカシア山越鉄道のスラムスタ山嶺地方とベルム鉄道のルネヴスキー線とであるという。最初の電気機関車は外国に注文、第2回目からはロシア国内で建造する計画。 ::大阪長柄大橋明年度架換え :::[大阪府]大阪府土木部による長柄大橋の架け替え。京都大阪間にはなくてはならぬ必要な橋梁だが最近では非常に破損し重量のある車馬の通行に危険が感じられるほどだった(第4巻第8号参照)。大阪府の都市計画によると十三新橋の架替工事は昭和4年−7年はでで、長柄大橋は7年から向こう3カ年で着工されることに決定していたが、来年度から大阪吹田線の都市計画路線が開始されるので保安上其の架替工事の期間も1カ年早められることと決定した。すでに総工費中から5万円が除かれて道路の調査および橋梁の測量が行なわれている。同橋の近くには毛馬閘門と可動堰があり、橋脚その他の工事がこの可動堰に支障を来すおそれがあり、また水流が一方に偏しているため従来に例を見ない難工事とされ、目下府においては架橋法を種々考案中。工費約200万円。 ::写真・加賀山氏提供の白楊河大橋 《 第6巻第9号 |第6巻第11号 》