!!!第5巻第2号 昭和4年2月発行 (1929年) 《 第5巻第1号 |第5巻第3号 》 http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/05-02/05-02-0988.pdf ※冒頭写真 パリの日本学生館 ※著名工事視察手引 !−鉄道− ::大阪の地下鉄地下商店街 :::[大阪府]大阪市の地下高速鉄道(第2巻第1号、第2巻第12号、第3巻第4号、第4巻第9号に関連報)は近く梅田の地下停車場が起工され、昭和6年には完成されるはず。目下竣工近くなっている梅田の阪急ビルディングの西南角地下は省線大阪駅への出入りや向かいの阪神ビルの連絡などにも一役買うので、この地下街の両側に立派な地下商店街を作ろうという案が研究されている。(大阪市電気局) ::親不知附近の津波と雪 :::[新潟県]本年冬期の酷寒と暴風雪によって鉄道や海岸村落に多大な損害が出た。鉄道省は内務省や地方当局と協力して根本的な防護工事をなすことに。鉄道の損害は約15万円だが雪解けする4月頃から復旧本工事に着手する。 !−建築− ::パリの日本学生会館 :::[海外]パリ郊外のモンスウリ公園、大学都市街の一角に、和洋折衷の会館が竣工した。工費50万円鉄骨石造8階建て、内部は大講堂、図書室、大食堂、60の寝室と日本式の庭園もある。金4円で食事つきの宿泊ができる。 ::好評の京都市営月賦住宅 :::[京都府]京都市設の月賦住宅131戸が昨年末、洛北紫竹柴本町に完成。水道電気完備、第一回分払い込み金383円を納付し次回より16カ年に毎月25円20銭を払い込めば土地建物とも借受人の所有となる仕組み。 ::尾道市 :::[広島県]市営住宅は家賃わずかに2円であるが6畳と4畳と雨天作業の土間が広いので非常な歓迎を受けている。 ::大阪城 :::[大阪府]大阪城周辺を公園化する工事は本年から着手される。天守閣跡には42万円を投じて豊公時代の面影を再現する新天守閣が鉄筋コンクリートで作られる。7層にするか8層にするかは学者当局者らが協議中。(大阪市役所建築課) ::讃岐善通寺の出釈迦寺 :::[香川県]弘法大師が1150年の昔に求法利生の請願を結んだ霊場。5カ年の歳月と工費30万円余りを投じて再建工事中だったが、本堂、庫裏が完成、この春落成式を予定。 ::芝浦埋立地 :::[東京府]芝浦埋立地に東京市が建設する屠殺場は建設費150万円、敷地1万余坪で4月起工。 ::神戸市 :::[兵庫県]兵庫中三島に工費700万円の中央卸売市場を建設する計画。商工課の藤島技師設計、延べ坪1万3000余坪の予定。 ::京都 :::[京都府]明治節記念塔奉献会が比叡山上海抜3000尺に明治天皇の威徳を記念する記念塔を建立へ。塔は伊東忠太博士の設計、高さ160尺、鉄骨銅張り、工費120万円。本年内竣工予定。 !−橋梁− ::東洋第一の長橋吉野川橋 :::[徳島県]徳島市の北端と板野郡応神村古川との間に吉野川橋架設。全長3511フィート、幅20フィートのトラス鋼鉄橋。これは鴨緑江の鉄橋より413フィート長い。大正14年11月起工、昭和3年12月18日開通。工費113万8000円余、第13号・第14号橋脚を水深38尺に釣り下げ施工したことが特筆。第4巻第6号に関連報、第5巻第3号「吉野川橋工事に就て 東洋第一長橋吉野川橋全景」http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/05-03/05-03-0996.pdf 参照。 !−学会及団体− ::土木学会 :::1月19日丸ノ内の鉄道協会において定時総会を開催。役員選出の後岡野会長の講演があり、晩餐会に移り盛会。出席者約100名。 ::建築学会 :::数十種の調査委員会が設けられているが、なかでも建築ポケットブックの編纂が注目される。委員長は内藤多仲博士、執筆家は官民建築技術家約50人が1種目40ページくらいを分担して700ページ内外のポケットブックを作る。本年度中には出版せられる予定。 ::帝国鉄道協会 :::第26回総会は昭和4年5月広島市で開催する事に。 ::土木業協会 :::昨年11月呉出身の業者多額納税議院松本勝太郎氏の欧米視察談話会を開催。 ::建築業協会 :::関東市部十日会の名で1月21日例会兼新年会。会長は横河民輔氏、会場は日本橋区桧物町大和。 ::東京土木建築業組合 :::1月22日丸ノ内の同事務所において定時総会。 ::交通協会 :::1月10日関係当局に対し東京市内の交通頻繁な須田町その他の6交差点に横断歩道を設ける建議案を提出。 ::土木学会誌 :::従来隔月発行の同誌は昭和4年より月刊となし毎月15日発行に。 ::混凝土調査会 :::土木学会主催の同会、昨年9月25日第一回幹事会を開催、以来会務が大いに進行し、最近では本年1月10日第6回幹事会を丸ノ内時事ビル内の土木学会にて開催。大河戸委員長、岡部三郎、黒河内四郎、藤井真透、野口虎之助、平山復二郎、三浦七郎、那須章弥ら出席。 ::用語調査会 :::土木工学に関する用語の統一を図るための調査会が昨年10月19日に第一回幹事会を開催。中山秀三郎博士を委員長とし幹事長に中川吉造博士。 !−人事− ::ワツデル博士 :::明治15年から4年間東京大学で橋梁学を講議した同氏、支那民国政府に招かれて渡支するに際し1月21日横浜に寄港されたので我が国工学会の先輩多数が歓迎に出向いた。 ::杉浦宗三郎氏表彰会 :::昨年12月15日、帝国鉄道協会主催の同会が200名余りの会員が出席し盛大に挙行された。杉浦博士は明治32年に本鉄道会社奉職当時から今日まで実に30年間鉄道協会の編集委員および委員長として尽力された。その功績により今回表彰される。 ::田中豊 :::鉄道省官房研究所の同技師は、従来等閑視されていた「泥」の性質研究に着手することに。まず丹那トンネルの泥の研究を始める。 !−雑報− ::岐阜県遅川切落し問題の大騒動 :::[岐阜県]岐阜市と大垣市との間にある遅川という小川をめぐって騒動が起こる。この川は長良川と揖斐川の中間にあって国道堤の上手から長良川に流入しているが、これを堤を貫いて下流に流す改修が計画されたが、これでは堤下の農民が出水の際に困る。昨年12月下旬から安八郡水害予防組合事務所なるものが主となり陳情活動をしていたのが、遂に本年1月初旬各村長の総辞職となり、1月8日名森村にて4000数百名の農民群集と警官が衝突、数名の負傷者が出た。 《 第5巻第1号 |第5巻第3号 》